
゛おかあさんのりぼん゛
こどもができたとたん
まわりのひとたちから
「おかあさん」と呼ばれる
しらないひとからも
ーーーおかあさん
まるで違う人になったかのように
自分の名前は 呼ばれなくなる
急に「おかあさん」と呼ばれても
おかあさんになんてなれないから
心のなかで しかめっつら
名前のない「おかあさん」のなかには
「やさしく あかるく がまんづよく」
も はいっている時があるから
ますます しかめっつら
ーーーやさしくなくて
あかるくなくて
すぐに弱音をはくわたしは
どこに行けばいいんだろう
生まれたばかりのあかんぼうは
まだ目も見えず
わたしのことを
「おかあさん」なんて呼ばない
わたしはわたしよ
と足踏みして
ほころびかけた花のつぼみを見ていた
そうして
お乳をあげて おむつをかえ
はいた乳をふき 背中をさすり
けしつぶみたいな つめを切り
頭をぶつけては おろおろして祈り
泣きやまない夜に途方に暮れたり
髪ふりみだして 追いかけたり
食べさせたりするうちに
ああ もう!
なんと呼ばれようが どうでもいいや!
と、思うようになるころ
ーーーおかあしゃんーーあん
ことばなんか知らない
赤くてふにゃふにゃだった生き物が
ーーーおかあしゃーーあん
わたしを呼ぶ
そう呼ばれたとき
わたしのなかは
やわらかいあたたかいもので
いっぱいにふくらみ
その一瞬に
りぼんをかけて
かざりたいような気持ちになった
その声が
「おかあさん」ということばが
なにかの
ごほうびのように思えて
「だんだん おかあさんに なっていく」
おーなり由子
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わたしは、なかなかおかあさんになれなかったときがあった。
いのちがわたしのもとへ生まれてきてくれて、
だけど、どうしていいかわからない孤独な日々を送っていた。
おっぱいもうまくいかない、ミルクの量もわからない、
赤ちゃんがなんで泣いているのかも、
どうしていいのか、
ただ、
おかあさんなんだから、何でも知っているでしょうと
生まれた病院で、いきなりそんな扱いを受けて、
なんとも落ち込んだ。何にも知らない自分は、何を学んで生きてきたんだろう?と
途方に暮れた。
旦那さんも一生懸命やってくれていたように思う。
けど、
どうなん?と赤ちゃんの気持ちを聴かれても、
わたしかって、どうしたらいいかわからない。
わたしに聞かれてもと思って悶々とした。
そんな自分とすごく重なり合うように、気持ちを描いてくれたのが
おーなり由子さんのこの詩集。
ちいさな子どもを持つおかあさんの、勇気に、希望に、心の寄り添いに。
私のベビーマッサージのクラスも、同じように、毎週4回あるのは、
そんなおかあさんになってく道のりを一緒に歩かせてもらって、
あなたに何が必要なのか?
赤ちゃんの個性や、赤ちゃんがどんなことを発しているのか、
それを、気づいてもらえるように、感じてもらえるように、伝え、応援してゆくのが、
わたしのクラスの中身かなあと思っています。
自分の困りごとを、入れた、ベビーマッサージのクラスになっています。笑
だから、私のクラスでは、
〇〇ちゃんママとは呼ばないです。
〇〇さんと下のお名前で呼び合います。あなたのままで、それが素敵。
どうぞよかったら、私のクラスにいらしてくだされば、ご縁があると嬉しいです。
その後を自信を持って、おかあさんとして歩いてゆけるその一歩になると思います。